第36回外国人のための法律講座

NPO栃木タイムズ 主催 2012729日開催

第36回外国人のための法律講座

テーマ:2012年7月9日スタート「新しい外国人のための法律」

講師:非営利活動団体 NPO 栃木タイムズ 代表 鈴木美惠子

 

報告


 

2012年7月29日開催された、第36回外国人のための法律講座「2012年7月9日スタート『新しい外国人のための法律』」のご報告を、Q&Aの形でご報告します。

 

Q:新しい制度はどのような制度ですか。 

A.2009年7月15日に交付された改正法、すなわち「改正」入管法・入管特例法・住民基本台帳法による新しい制度は、2012年7月9日から実施されました。新しい在留管理制度の対象人となるのは、入管法上の在留資格をもって我が国に中長期在留する外国人(以下「中長期間滞在者」といいます。)を対象として、その在留状況を継続的に把握し、外国人の適正な在留を確保するための制度です。また、外国人にも住民基本台帳制度が適用され、外国人にも住民票ができます。 

ポイント:

(1)「在留カード」が交付されます。   

(2) 在留期間が最長5年になります。      

(3) 再入国許可の制度が変わります。  

(4) 外国人登録制度が廃止されます。      

(5) 外国人にも住民基本台帳制度が適用され、外国人にも住民票ができます。

 

Q:在留カードとはどんなカードですか? 

A.在留カードは、対象者には,氏名等の基本的身分事項や在留資格,在留期間が記載され,顔写真が表示されたICチップが搭載された磁気カードです。在留カードは、中長期在留者に対し、上陸許可や、在留資格の変更許可、在留期間の更新許可などの在留に係る許可に伴って地方入国管理局で交付されます。なお,改正入管法が施行される平成24年7月の時点においては,成田空港,羽田空港,中部空港及び関西空港以外の空海港では上陸許可の際に在留カードを交付せず,中長期在留者の方が入国後に市区町村に届け出た住居地あてに在留カードを簡易書留にて郵送します。 

 

Q:在留カードの導入による利点は何ですか? 

A.在留カード導入により、国民健康保険、介護保険、国民年金、教育、各種手当といった行政サービスの適切な提供に利用できるようになります。

 

Q: 「在留カード」は、運転免許証のように身分を公的に証明するものになるのですか? 

A.自らが適法な在留資格をもって我が国に中長期間在留する者であることを簡単に証明することができます。 

 

Q: 空港で在留カードが交付されず、後日に交付されることの詳細について説明してください。
A. 市区町村で住居地の届出を行っていただいた後、10日程度で届け出ていただいた住居地に在留カードが届くように発送します。発送した際に入国管理局からご連絡はしませんので、届出から相当期間が経過しても在留カードが届かない場合には、在留カードの発行拠点に問い合わせてください(問い合わせ先の詳細は,後日交付の対象となる中長期在留者の方にご案内します。)。

 

Q:「新しい在留管理制度」の対象となる人たちはどんな人たちですか?

A.入管法上の在留資格をもって我が国に中長期間在留する外国人(中長期在留者)です。

 

Q:新しい在留管理制度の区分は?


「改正」入管法・入管特例法では 「改正」住民基本台帳法では

特別永住者

(在日韓国・朝鮮人、台湾人)

市区町村で「特別永住者証明書」交付 市区町村で「外国人住民票」作成
中長期在留者(在留資格が「日本人の配偶者等」「定住者」「技術」「人文知識・国際業務」、技能実習生、留学生、永住者など) 地方入国管理局で「在留カード」交付 市区町村で「外国人住民票」作成
非正規滞在者(超過滞在者など) 「在留カード」は交付されない 「住民票」は作成されない/削除される

 

Q:中長期在留者とは、どのような人たちですか?
A.次の(1)~(6)のいずれにもあてはまらない人です。
(1) 「3月」以下の在留期間が決定された人

(2) 「短期滞在」の在留資格が決定された人

(3) 「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人

(4) ①から③の外国人の準じるものとして法務省令で定める人

(5) 特別永住者

(6) 在留資格を有しない人

 

Q:外国人にも住民基本台帳法が適用され、外国人にも住民票が作成されるのですか? 

A.本改正により、これまで住民基本台帳法と外国人登録法の2つの別々の制度で把握していた複数国籍世帯(外国人と日本人で構成する一の世帯)について、より正確に世帯構成を把握することが可能になるとともに、世帯全員が記載された住民票の写し等が発行できるようになります。住民基本台帳は住民に関する事務処理の基礎となるものであり、転入届などにより、国民健康保険など、各種行政サービスの届出との一本化が図られ手続が簡素化されます。 

 

Q:再入国許可の制度はどのように変わるのですか? 

A.これまでの出国の日から1年以内に再入国する場合の再入国許可手続を原則として不要とするみなし再入国許可制度の導入など適法に在留する外国人にとって便利になります。 みなし再入国許可により出国した外国人は、その有効期間を海外で延長することはできません、出国後3年から5年以内に再入国しないと在留資格が失われることになります。

 

Q:「外国人登録証明書」が在留カードとみなされる期間はいつまでですか?
A.施行日(2012年(平成24年)7月9日)の時点において外国人が有する在留資格及びその年齢により、外国人登録証明書が在留カードとみなされる期間は次のようになります。その期間が外国人登録証明書に記載されている次回確認申請期間よりも短い場合がありますのでご注意ください。

 

永住者:

16歳以上の方 2015年(平成27年)7月8日まで 

16歳未満の方 2015年(平成27年)7月8日又は16歳の誕生日のいずれか早い日まで 

 

特定活動: ※ (※特定研究活動等により「5年」の在留期間を付与されている者に限ります。)

16歳以上の方 在留期間の満了日又は2015年(平成27年)7月8日のいずれか早い日まで 

16歳未満の方 在留期間の満了日,2015年(平成27年)7月8日又は16歳の誕生日のいずれか早い日まで 

 

それ以外の在留資格:

16歳以上の方 在留期間の満了日    

16歳未満の方 在留期間の満了日又は16歳の誕生日のいずれか早い日まで

 

その他、色々なことが詳細に決められています。今回の講座で取り扱えたのはほんの一部です。つづきは、今後開催予定の「外国人のための法律」で順次取り上げていきたいと思います。